感性工学とは? わかやま新報139号 5月22日号

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

わかやま新報の読者の皆さま、こんにちは! 和歌山県よろず支援拠点コーディネーターの横山精光です。

今回は「感性工学」という学問についてお話します。感性工学とは、人の五感を科学的に追求し、世の中の役に立つ研究をする学問のことです。広島大学の長町三生(みつお)名誉教授が始められ、海外でも「Kansei Engineering」として認識されています。

韓国やイギリス、スウェーデンなどの国外でも研究されており、国内には日本感性工学会という学会があります。学会には、繊維(フアッション)をはじめ、自動車や飲料、スポーツ用品、食品、芸術、住宅、家具、ロボット、化粧品など、幅広い分野の研究者が集まっています。

研究そのものは難しいのですが、私が(独法)中小企業基盤整備機構の仕事をしていた時の比較的簡単な例(感覚と解析)をご紹介したいと思います。

天皇・皇室献上品を持つ老舗の和菓子店が、新たな商品を開発する際にお手伝いをした時のことです。伝統和菓子は砂糖が貴重な時代に作られたことから、日持ちをさせるために糖度が高く、近年好まれる甘さとの乖離がありました。そのため、適度な甘さを追求することで地元産の栗の味を引き立たせることにしました(地元で行列のできる店づくりがコンセプトのスタート)。

まずベンチマーキングとして評価されている長野県や岐阜県の和菓子を購入し、社長をはじめ、社員さんの試食会をしました。その際、対象商品の各部位の糖度測定をし、糖度と甘さ評価を実施して相関を調べました。その結果を基に、さらに試作と評価を何度も繰り返し、最適な甘さの糖度を決定しました。本体の姿やパッケージについては、別途検討して最終の商品に至ります。

一般的には、「高級な」「温かみのある」「生き生きした」「心地よい」「モダンな」「シンプルな」「爽やかな」「味わいのある」「おいしい」などの形容詞で表される狙いのコンセプトに対して、商品の色や形などを追求していく(必要により統計解析手法の活用など)心理的評価法と、脳波や近赤外分光計測、筋電位計測などで評価する生理的評価法があります。

機会があれば活用をお勧めします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。