【よろず支援ニュース#274-令和②】
事業再構築・新事業展開:成功のためのポイント、失敗のリスクについての私見・アドバイス

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当方は、今まで皆様へ事業再構築補助金の有効活用を勧めてきました。しかし、一方で「事業再構築」「新規事業展開」とは、本業での新規取組と比べてもリスクが相当高く、成功へのハードルも高いことは事実であり、この点についても言及する必要があるかと考えます。そこで、今回は事業再構築・新規事業展開における「成功するためのポイント・失敗のリスク」について参考資料を交え私見を述べたいと思います。

まずは参考情報として、中小企業白書2017版の第3章「新規事業の促進」をご紹介します。

  • 中小企業白書2017年版の概要(第3章は25~28ページの4枚)

>>https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/h29_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf

  • 中小企業白書2017年版本文の中の第3章全文(67ページ)

>>https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap3_web.pdf

  • お忙しい皆様は、一番上の概要資料の4枚(25~28ページ)だけでもご覧ください。事業再構築補助金の事業計画書を書かれる方は、白書第3章全文に目を通すことを勧めます。
  • 白書の中では新事業展開に取り組んだ事業者(1000者程度)を対象に「成功したか否か」を聞いたアンケート調査結果があります。概要29ページに図3にあるとおり「成功した」と回答した事業者の割合は約29%です。この数字が高いのか低いのかは意見の分かれるところかと思います。
  • 新事業展開の難しさを表現した言葉に以下のようなものがありますが、成功のハードルは高いことは間違いありません。

「新規事業は1勝9敗」(ユニクロ柳井さんの本のタイトルみたいですが)

「新事業の成功率はイチローの打率より低い」(オリックス宮内オーナーの言葉)

  • 「成功のポイント」ですが、私の経験からも、まず第一に「人」ではないかと考えます。

*トップ(社長・代表)は強くコミットしているか?(当方「コミット」という言葉が好きであり、「どんな問題が発生しても乗り気ってみせる、やり切ってみせるという強い信念」と個人的に定義しています)

*成功させるために必要なキーパーソンのスキル・ノウハウは大丈夫か?

*社長以下、事業再構築チームメンバー全員が同じ目標を共有し、チーム一丸となって事業を推進していけるか?(チームとしてのコミットメント)

*上の内部人材が不十分な場合、適任の外部人材・外部協力会社を確保できるか?(概要資料の27ページご覧ください)

*(中規模以上の事業者様の場合、)通常の新規取組であれば担当責任者は「兼任」の場合がほとんどだが、社運を賭ける事業再構築では「専任者」を置けないか?(大変無理なことを言っているのは十分分かってはいるのですが)

  • 次に、「マーケティング」かと考えます。どんな素晴らしい商品・サービスを開発しても、お客様・ユーザーに知ってもらわないと意味がない、知ってもらった上で買ってもらわないと意味がないことは当たり前です。(一般的に中小事業者は、これが苦手とよく言われますね)
  • 概要資料25ページの上部に「目指す新事業展開の戦略別に、マーケティングの取組状況によって成否に差がある。」とあります。営業・マーケティングへの取組内容により、事業再構築の成否が左右されることは間違いありません。

また、事業再構築補助金の事業計画書には当然売上・収支計画が必須になりますが、これはただの数字です。この数字目標をやりきるための営業・マーケティング施策の具体的な、そして精緻な説明がなければ、読む側(審査員)には説得力がありません。

  • 以上、他にも成功のポイントは色々ありますが、まずは「人」と「マーケティング」が成功のキーになると個人的に考える次第です。逆にいえば、上にある「人」「マーケティング」に大きなリスクがあれば、成功はおぼつかないかとも言えます。
  • 最後に、「補助金」は経営者が投資をするか否か決断する際、「背中を押してくれる」ありがたいものでしょうが、成功のポイント・要因では全くありません。

以上、長々と私見を書いてきました。私が事業再構築補助金の審査員であれば、「事業再構築・新事業展開とはリスクが高いもの」という前提で事業計画書を読むかと思います。「この申請者さんは、リスクをどう認識・理解しているのか?」「そのリスクを解決・つぶし込むために何をしようとしているのか?」、私だったら知りたいところです。

事業再構築補助金への申請をお考えの方々、あくまでも個人的なアドバイスではありますが、以上の点も意識して事業計画書を作成してみては如何でしょうか

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